お部屋を借りて住む場合に大事なのが保険です。気に入った部屋に申し込んで借りるときには、保険に入ることが条件となっていることがほとんどです。このお部屋を借りるときの保険がどういうケースで必要というのを分かっていた方が、いざとなったときに慌てずすみますね。入る保険会社によって商品はそれぞれ違いますので、補償の内容は全部同じではありませんが、一般的にセットになっているもののうちからいくつか紹介します。
●自分の持ち物(家財)にかける保険
保険契約の基本的な部分が、この自分の持ち物(家財)にかける保険です。家電製品や食器、寝具、衣類など、個別にいくらというかけ方ではなく、例えば全部で300万円、のようなかけ方をします。火災、水濡れ、盗難などに遭った場合に、その損害に対して保険金が支払われます。保険金の支払われ方は、契約の方法によって変わります。主に「再調達価額」か「時価」いずれかになっていて次のようになります。再調達価額は新しいものの値段か修理費用のいずれか低い方が保険金となります。時価の場合は、そのものの現在の価値(購入時の価格から使用年月分の価値を引いたもの)又は修理費用のいずれか低い方が保険金となります。もしその商品が地震保険も付けることができるものならば、地震にも備えることができます。
●借りている建物を原状に戻すための保険(借家人賠償責任保険)
火事など自分の不注意で部屋に損害を与えてしまった場合、大家さんに対して、部屋を元の状態に戻さなければならなくなります。部屋の修理費用が対象となりますが、あくまで原状回復なので、その建物の価値の分までしか保険金が支払われません。よく問題となるのは、火災などで損害が大きくなった場合に、建物が古いと修理費用と現状の価値の差が出てしまって、この保険金だけでは修理しきれないことがあります。ちなみに、大家さんはこういった場合に備えて、再調達価額で自分の建物に保険をかけて、差額は自分の保険金でまかなう、などしなければならないということになります。大家さんが自分で保険をかけているからお部屋を借りる人は保険をかけなくてもいい、と思われるかもしれませんが、それは間違いです。大家さんが保険に入っていても、原状回復の責任は残ります。大家さんの入っている保険会社から責任分を請求されることになるので、お部屋を借りる人も保険に入っておく必要があるのです。
●日常生活に起因する損害賠償に備えるための保険(個人賠償責任保険)
借りているお部屋の使用や、日常生活上において、他人のものを壊してしまったり、怪我をさせてしまって、法律上の賠償責任を負った場合、その賠償金相当が保険金で支払われるものです。洗濯機の蛇口を閉めずにホースが外れて漏水を起こして階下の住人の家財に損害を与えてしまった、ですとか、自転車に乗っていて歩行者に衝突して怪我をさせてしまった、などの場合にこの保険の対象となります。走行している自転車同士の事故は多くの場合で双方に過失があります。こういったときは双方がそれぞれ責任の程度に応じて賠償しなければなりませんが、自分に過失があって相手に対する賠償責任が少しでもある場合はこの保険の対象となります。そして、この保険に示談交渉サービスが付いている場合は、保険会社の人が自分に代わって損害を与えてしまった相手の人とのやり取りをすべてしてくれます。この保険は車を運転しているときや仕事中に(職務の遂行に起因して)発生した事故は対象となりません。なお、この保険金を請求しても、それを原因として次回更新時の保険料が上がったりすることはありません。
●被害者になったときに備える保険(弁護士費用保険)
保険の商品によってはこの弁護士費用保険がセットにできる場合があります。これは先程の賠償責任保険が対象となる場合とは違って、自分自身が事故の被害者になって怪我をしたり、自分のものが壊されてしまったりした場合に対象となります。具体的には、弁護士等への相談の費用(例えば一回1万円まで、など)を対象とするものもありますし、実際に弁護士に損害賠償請求を委任する(裁判にする場合を含む)ときにかかる実費や弁護士報酬を対象とするものもあります。どの弁護士に相談したらよいかわからない場合でも、日本弁護士連合会と協定を結んでいる保険会社なら、自分の住んでいる地域に近い弁護士を紹介してもらうこともできますし、報酬基準も一定のものが適用されるので安心です。
~お部屋を借りるときの保険は継続しないといけない~
お部屋を借りるときの保険は自分で選ぶか、不動産会社からの紹介で入ることになりますが、多くの場合は1年契約か2年契約です。契約が終了すると、継続する契約をして保険料を払い込まなければなりません。一方、自動継続されるタイプの保険でも、指定した支払い方法によって保険料が払い込まなければ一定期間後に失効することになります。保険料がもったいないからといって故意に保険に入らなかったり、保険会社や保険代理店からの契約終了や更新の通知をよく見ないでそのままにしておくと保険に入っていない状態で部屋を借りることになります。保険に入ることが賃借の条件になっている場合は、大家さんとの約束を守っていないことになるばかりか、これまでに紹介したとおり、ボヤを起こしてしまったり、洗濯機の蛇口を閉めずにホースが外れて漏水を起こしてしまったり、その他日常生活上で被害事故や加害事故をしてしまった場合に保険が効かなくなって自分で交渉したり自費で対応しなければならなくなります。
~保険金を請求するには~
何か事故が起こってしまったら、まず保険証券を見て保険会社にその保険で対象となるかどうか確認しましょう。その際は、いつ、どこで、何が起こって、何にどういった損害が発生したのかを伝えましょう。発生状況や損害の確認のために写真や見積書を送るように言われることもありますし、保険会社から損害鑑定人が派遣されてくる場合もあります。保険金請求書と、損害のわかる写真、修理見積書や費用等の証明書類、その他保険会社の指定する必要な書類を添えて提出することで書類完備後、通常は30日以内に保険会社から認定された金額が支払われることになります。他人に賠償するときの保険金や費用に対する保険金の場合は相手の当事者や修理業者に直接支払われることもあります。
~最後に~
お部屋を借りて住むときは、近隣、隣室や同じ共同住宅に住んでいる人に迷惑をかけないことが大事ですが、同じく、偶然な事故によって迷惑をかけたりした場合に迅速に対応することが必要です。この時役立つのが、お部屋を借りるときの保険なのです。その保険料は家賃の一部だと思って、お部屋を借りるときは忘れずに保険に入りましょう。
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