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一人暮らしのススメ

数十年前と比べて住宅事情の背景がだいぶ変わってきました。まず、建物自体は首都圏、特に都内の新築マンションの価格はずいぶんと高くなりました。マンションなどの設備も格段によくなりましたが、それにつられて賃貸物件の間取りや設備も工夫されているものが多く快適になりました。一方、住む人の方はと言えば、晩婚化、少子化、終身雇用的な働き方から転職を複数回する多様な働き方への変化が見られますし、収入の上昇が不確定になり、寿命がずいぶんと伸びて、近い将来二人に一人が100歳まで生きる時代になるとまで言われています。つまり、この長い人生の間にライフスタイルも、どんな所に住むかも選択肢が広がった事を意味します。学校を卒業して働く場合、多くの人はまず両親と一緒に暮らすのか、一人で暮らすのかという選択をする事になると思います。そこでは最初から一人暮らしをする事をお勧めします。親と暮らしていては、一人暮らしの最大のメリットである自由を手に入れることができません。好きな時に起きる、寝る、食事をする、入浴する、勉強する、深夜早朝に帰宅する、など自分のしたいようにできる、自由な生活ができるのが一人暮らしです。

～賃貸住宅のメリット～

次に、賃貸か持ち家か、という永遠のテーマが昔からありますが、どちらを選ぶかはそれぞれ利点があるので結局は人それぞれです。ただ、独身で若いうちは転居がしやすいという、賃貸住宅のメリットを最大限に活かしてみるのがよいと思います。かつてはデメリットとして初期費用の問題がありました。都内などでは敷金と礼金でそれぞれ2ヶ月分が一般的な時代があり、前払いの家賃と合わせて賃料の約6ヶ月分を準備しないといけませんでした。しかし、今はそれも多様化し、敷金礼金ともに無しというゼロゼロ物件も珍しくはありません。またかつては保証人を用意するのが一般的で、事情があって親や兄弟などに保証人になってもらうことを頼むのが難しい場合には、それがハードルでした。今は保証人を用意するのではなく、保証会社へ保証料を払うという方法も広まりました。さらにはフリーレントといって、最初の一定期間の賃料が無料になる物件も多くあり、かつての借りる場合の初期費用のハードルはほぼ無くなったと言えます。引越し費用も、一人暮らしで家財が少なければ都内から都内で、1万円代で引き受けてくれる引越業者もネットでたくさん見つける事ができます。

～一定期間経ったら引越し～

賃貸住宅の契約期間は多くは2年です。2年ごとに契約を更新することになるのですが、その際に都内の物件であれば更新料が設定されている事が多くあります。大昔は賃料2ヶ月が一般的でしたが、最近では賃料1ヶ月分の更新料が一般的です。更新料がもったいないと思ったら引越を検討する事をお勧めします。借りている部屋に欠点がなく、とても気に入っているという場合は無理して引越しする必要はありませんが、一定期間住んでいると、もっとこういう建物、こういう部屋、こういう場所にある部屋がいい、という自分の希望を叶えたいと思う事もあるでしょうし、隣人の生活スタイル（から発生する生活音等）がどうしても自分のものと合わずにストレスになっているという事もあるでしょう。また住んでみたら思っていたイメージと違ったという事もよくあります。また転職して勤務地が変わったため、給料が上がったためもっと高い賃料を支払えるようになった、逆に賃料をもっと下げたい、などいろいろな新たな事情もあるでしょう。

～「引越し貧乏」は過去の言葉～

かつては「引越し貧乏」という言葉がありましたが、家財を持たない、あるいは小型のものを選んで買うというシンプルなライフスタイルに慣れれば、引越しでかかる費用はそれほど大きくありません。賢く賃貸住宅を利用すれば自分のライフスタイルや転職に合わせて住む部屋を替えていくという方が、より充実した生活を送れるでしょう。20代で独身の人の場合、仕事中心の生活でありながら週末は趣味を楽しむというスタイルの人が多いかもしれません。そうなると、住居はできるだけ駅に近くて、職場へのアクセスがよいという事を重視した方がよいでしょうし、例えば、女性ならショッピングしやすい街やジムなどへアクセスがよい事が大事だという人もいるでしょう。他には車やバイクが趣味の人なら、駐車場やバイク置き場が住居やその近くに確保できる事が大事だという人もいるでしょう。このように一人暮らしで仕事も頑張り、趣味も楽しみたいという人たちには都内で賃貸物件に住む事をお勧めします。

～住む場所の選び方～

都内のどこに住めばよいか、という事を検討する場合は何を考慮したらよいでしょうか。通勤時間がもったいないので職場に徒歩で行けるところや電車や地下鉄で一本で数駅というところを選びたくなりますが、それでは毎日がまさに家と職場の往復になってしまいます。また職場に近いと仕事から開放されるという感覚が得にくくなる事もあるでしょう。そこで職場だけではなく、休日よく行くエリアや好きな街との位置関係を検討します。職場とそのよく行くエリアの間に渋谷や新宿などがあれば、仕事帰りにも、休日にもそのエリアに行く事ができます。通勤定期であれば交通費をかけずに気軽に頻繁に行く事ができます。つまり渋谷を間にする例なら、渋谷を通過して新宿や東京などのエリアに通勤するというスタイルを検討してみるべきでしょう。

～いくつもの賃貸住宅に住む隠されたメリット～

長い人生の間で、いつかは家が欲しいと思う事があるかもしれません。その際に、一人暮らしで多くの転居経験があった方が有利です。なぜなら、住まいを購入するという事は、その後の引越す自由が相当程度制限される事になり、慎重に選ばなければならなくなるからです。例えば、間取りは千差万別ですから、住んでみると見た目よりも意外に良い、悪いという点はある程度住んでみてわかってくるものです。方位も、南向き以外の良さはそれぞれの方位で住んでみないとわかりません。駅からの立地も、どの程度が許容範囲かというのもいろいろ住んでみて自分に合った範囲がわかるようになります。いくつもの物件に住んでみると家探しが上手になるという大きなメリットも実は隠されているのです。